令和2年9月2日に寳金清博氏が北海道大学の次期総長予定者になることが決定した。文部科学大臣の決定をもって就任となるが,覆されることはないだろう。
仕事柄,このニュースは非常に関心のある出来事であった。
それは,なぜか?
そう,前総長である名和豊春氏が北海道大学総長の職を解かれた後の総長選考であったからだ。
令和2年6月30日に、文部科学省から北海道大学総長選考会議議長あてに、同日付けで総長を解任した旨の通知があり、名和氏は総長の職を解かれた。
なぜ、その様なことが起こったのか?
理由は、文部科学大臣が国立大学法人法第17条第2項に規定する「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当するとしたからだ。
「その他役員たるに適しないと認めるとき」が何を意味するのか。
文部科学省は調査を行い(実際は北海道大学で総長選考会議の下に設置された調査委員会が行い、文部科学省に答申)総長選考会議が認定した30件の不適切行為のうち、28件が不適切な行為として認定された。これを踏まえて、文部科学大臣が国立大学法人法第17条第2項に規定する「その他役員たるに適しないと認めるとき」に該当するとして解任したものである。
不適格行為の具体的な主な内容は以下の通りである。(文部科学省としての事実確認の結果・文部科学省大臣官房人事課作成)
(1)名和氏による言動に関すること
→部下に対する威圧的な言動
→威圧的な叱責
→理不尽に翻す合理性を欠く発言
→一方的で不適格な叱責
→配慮を欠く発言
→威圧的で品位と礼節を欠く極めて不適切な発言
→相当性を欠く態様で叱責を行った。
(2)名和氏による北大の信用を失墜する具体的行為に関すること
→北大の記念式典における、要人に対して非礼な対応
→ANAラウンジにおける行為
(3)名和氏の総長および研究者としての問題行為
→政府調達のルールを無視した不適切な業務指示
→裁量の範囲を逸脱しての業務指示
→研究者倫理に違反し著作権侵害する不適切業務指示
(4)その他の資質を疑われる行為
→北大職員倫理規則違反行為
→役職員の士気を低下させた
→優柔不断な姿勢を示し、決定に遅延を生じさせた
上記(1)から(4)の不適格行為は、北海道大学総長選考会議の下に設置された調査委員会が調査をした結果である。
どのような調査がなされたのだろうか?
名和氏は、調査は「一度も弁明の機会がない」が設けられず作成されたものであると発言している。
もし名和氏の発言が本当であるのなら、調査委員会の調査は違法と言わざるを得ないと私は思う。
本来、調査(捜査)とは最低限、以下の手続きが必要と思われる。
被害者がいて、被害を訴える→被害者の訴えを聴取する→加害者の言い分を聴取する→両者の意見を元に関係者たちにヒアリング→証拠確認→判断、裁定
調査委員会は、被害の訴えと同程度に重要な加害者の言い分を聴取していないのだ。
そして、一方的に名和氏の非違行為を認定し、調査を終了させ、北海道大学総長選考会議に答申し、それを大筋認定し、文科省に総長解任を申し出たのだ。
冷静に判断すれば、明らかに調査方法に関しては瑕疵があり、国民も疑義を感じると思うが、今回はマスコミが本件を報じた際に「パワハラ行為」と大きく報道された。
パワハラなら仕方ない、自業自得だという印象付けが先行してしまい、名和氏が悪だということを国民に植え付けた結果、調査委員会の調査方法がおかしいとの声は上がらなかったのではないか。
この解任劇は、根が深く、今後も何かしらの影響はあると思う。
名和氏にも少なからず瑕疵はあったのかもしれないが、解任されるまでの行為には及んではいないと感じる。
私は、この件に関して非常に興味があり、今後もいろいろと調べて、思ったことを書いて行きたいと思う。
そして望むことは、真実を解明し、然るべき信頼できる機関(司法?国?)が正しい判断をすること、ただそれだけである(簡単なことではないか??)