会社内で「A課長に命じられて、先週の日曜日に出勤したので、火曜日は代休を取得します。」という会話を聞くことがよくあるかと思います。
そんな休日出勤の際、代わりに別の勤務日を休日に変更すると思いますが、その際の休日の名称は「代休」と「振替休日」どちらが正しいと思いますか?
一見似ているものの、法律上ではまったく意味が違うのものなのです。
僕も労務関係の部署に異動する前、「代休」と「振替休日」はイコールだと思っていましたので、初めて意味を知ったときはなるほどなーと感心した記憶があります。
今回は、「代休」と「振替休日」の違いについて書きます。
目次
そもそも祝日とは何か?
その前に、「元旦」や「体育の日」などの祝日は「国民の祝日に関する法律」に規定されている休日なのですが、なぜ祝日があるのか疑問に思ったので、そもそも祝日とはなんぞやということを調べてみました。
国民の祝日に関する法律に定義されている祝日とは
祝日の定義は「国民の祝日に関する法律」に明記されています。普段、あまり接することのない法律なのでピンとこないと思いますが、すべての祝日はこの法律で定められているのです。
国民の祝日に関する法律 第1条
自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。
堅苦しい・・けど、日本らしい法律ですよね。この条文を読み上げるだけで、祝日のありがたさが身に沁みます。皆さんも一度、読み上げてみてください!祝日の見方が確実に変わりますよ。
国民の祝日とは
「成人の日」「文化の日」などの定義も「国民の祝日に関する法律」の第2条に規定されています。ちょっと面白いというか「へーそうなんだ」と知識が広がりますので、規定されている「国民の祝日」を羅列していきます。
元旦 1月1日
年の初めを祝う。
成人の日 1月の第2月曜日
おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
建国記念の日 政令で定める日
建国をしのび、国を愛する心を養う。
春分の日 春分日
自然をたたえ、生物をいつくしむ。
昭和の日 4月29日
激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
憲法記念日 5月3日
日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
みどりの日 5月4日
自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
こどもの日 5月5日
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
海の日 7月の第3月曜日
海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
山の日 8月11日
山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
敬老の日 9月の第3月曜日
多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
秋分の日 秋分日
祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。
体育の日 10月の第2月曜日
スポーツに親しみ、健康な心身をつちかう。
文化の日 11月3日
自由と平和を愛し、文化をすすめる。
勤労感謝の日 11月23日
勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。
天皇誕生日 12月23日
天皇の誕生日を祝う。
16日も祝日がありました。こうやって羅列してみると祝日って結構多いなという印象を受け、世界の祝日数ランキングで日本はなんと世界第2位となっています。
世界の祝日数ランキング第1位は年間18日の「コロンビア」と「インド」となっており、反対に少ない国の第1位は年間7日の「メキシコ」となっています。
こどもの日って「こどもだけではなく、母に感謝する」日でもあるんですね、知りませんでした・・。将来、この日は母の日でもあるんだぞ商法がでてきそうで怖い・・。
ここまで、そもそも祝日とは何かということを書いてみました。
なんか、少し疲れたので・・、これから簡単に「振替休日」と「代休」の違いを書いていきます。
振替休日とは
振替休日とは、あらかじめ休日と定められていた日を就業日とし、他の就業日を休日に振り替えることです。
あらかじめということは事前にということなので、社員は休日となる日がわかります。
そして、もともと休日であった日は就業日になるので、休日労働をしたことにはなりません。従って、もともとの休日に就業させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
代休とは
代休とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の就業日を休みとするものです。
前もって(あらかじめ)休日を振り替えたことになりませんので、「休日労働」となり、休日労働に対する割増賃金の支払義務が生じます。
まとめ
この2つの違いを知っている方は非常に少ないと思います。
そして、損(法律違反)をしている可能性もあるのです。
例えば、システムトラブルで止むを得ず日曜日に出勤し、翌日、上司から「昨日はご苦労さん、振替になるから今週の水曜日休んでいいよ」と休日労働に対する割増賃金(35%)が支払われず、休みだけだったという事例は、法律違反になってしまいます。
この違いを知らなければ、ただ単純に損をするだけになりますので一度、会社の就業規則を確認してみてはいかがでしょうか?
以上、今回は「振替休日」と「代休」の違いでした。(祝日を書いて息切れしてしまった感がありますが、ご了承ください・・)