盲腸(急性虫垂炎)の手術前後の話、後編です。
前編はこちらからどうぞ。
目次
麻酔
医療系ドラマでよく見る光景。
手術室の六連ライトである。
この世にこんなにも眩しいものがあるのかというぐらい眩しい。
「あー、俺の体にもメスを入れられる時がきたのか」と考える隙もなく、先生から「麻酔、入れますよ。」と酸素マスクが顔にかけられた。
「麻酔が効かず、先生をビビらせてやるか」と企んで、目をパッチリさせた。
記憶が飛んだ。
手術後の悪夢
目を覚ましたら、妻の顔があった。
妻「パパ、終わったよ。」
私「・・・・へ?」
麻酔は効くことが実証された。(当たり前だ)
まだ、麻酔のせいで頭がぼんやりしていたが、腹の痛みは治まっていた。
が、がである。
あそこが痛い。
看護婦さんに「すみません、(股間を指差して)ここら辺が痛いんですが・・」と聞いて見る。
看護婦「ごめんなさいね。我慢してね、オシッコが漏れないように尿道カテーテルを入れているの。あと3日は我慢してね。」
げ、3日も。
痛いぞ、猛烈に痛いぞ、3日も我慢するのか。
痛いのもあるが、常に尿意があるという嫌な感覚である。
手術室から病室へ向かう直前、先生から切り取った盲腸を見せられた。
先生「ほれ、こんなにパンパンに腫れている盲腸は珍しいよ。もうちょっとで破裂するところだったね。っていうか少し破裂は、臭うしね。」
確かに、破裂しそうなドス黒い盲腸。
そして猛烈に臭かった、うんこの匂いである。
先生「じゃー、4日入院してもらうから、安静にしててね。」
私「ありがとうございました。(げ、4日も入院できないぞ。仕事があるのだ、まー今は、深夜だから明日相談するか〜)」
病室に移動。
疲れていた妻には帰宅してもらった。
麻酔が効いていたのかは、不明であるが傷口がまったく痛くなかった。
でもあそこは、痛い。
永遠に続く、尿意。
これは、辛い。
尿意があって寝れないのだ。
ナースーコール。
看護婦が来た。
私「(笑顔で)猛烈にここが痛いので、これ外せないですか?」
看護婦「ダメですね。一人でトイレできますか?」
私「(できるだろ・・この尿意と激痛を早く取り除きたい、よし)できます!」
看護婦「しょうがないですね。じゃー小便は尿瓶を使ってしてもらいますからね。」
私「(やったー!!!!!!)お願いします!」
看護婦さんが白い手袋をして、カテーテールを引っ張る。
私「(ギャーーーーーーjファイjふぃpはph)」
もう、人生の終わりであるような痛み。
あそこに1000本の針が刺されているような痛み。
絶対、血が出てると思った。
看護婦「はい。抜けましたよ。(うっせー野郎だな)」
私「(涙目で)ありがと、う、ございました・・。痛かったです。」
看護婦「頑張りましたね。じゃー、おしっこはこの尿瓶にね。」
カテーテルを抜いたが、尿意は一向に治らず、尿瓶を使いおしっこをしようと思った。
なんで?
おしっこが出ないよ〜。
でも尿意あるが一向に治らないよ〜。
2時間ぐらい格闘したが、一滴もおしっこが出なかった。
それでも続く尿意。正直、尿意があるのにおしっこが出ないことが入院生活で一番苦労した。
午前5時、尿意との格闘を諦め、就寝。
午前8時起床
傷口が痛てーーーーー。
麻酔が切れたのである。
寝返りができない・・・。
傷口を見てみると、腹に3箇所のカーゼが貼られており、いづれからも血が滲んでいた。痛いのは、当たり前だ。腹をメスで切ったのだから・・。
何もせず、病室の天井を見ていた。
寝たきりの老人は、いつもこうやって病室の天井を見ながら死を待っているのかと悲しい気持ちになっていると先生が私の所にやってきた。
先生「どうですか?痛いでしょう?2、3日我慢すれば傷口も良くなってくるからね。」
私「わかりました。先生、尿意があるのですが、おしっこが全然出ないんですが、、」
先生「まー尿瓶では、出にくいですからね。行けるようであれば、歩いてトイレに行って見たらどうですか?」
私「(やっとおしっこが出る。)やってみます!」
先生が病室を離れた後、勇気を振り絞ってベットから起き上がり、トイレに向かった。
歩くたびに、傷口がズキズキと痛む。
トイレ到着。
小便器で踏ん張ってみた。
出た〜。 でも、イテーーーー。尿道が、いやあそこが猛烈に痛い。
カテーテールが尿道を傷つけていたようだ。
完全に出し切った。
達成感。
尿意は完全に収まった。
まとめ
尿意がなくなり、それからは順調に回復して行った。
そして、退院、無事完治。
手術の感想
・盲腸の手術より、尿道カテーテルのあのいやーな感覚の方が地獄だった。
・麻酔は猛烈に効く、悪用はしないように
・尿道カテーテルを抜いた後のおしっこは、猛烈に痛い。
以上、盲腸の手術前後の話、後編でした。